小さな力運動

歴史と活動内容

概要

小さな力運動は、1985 年の群馬県支部ガールスカウトギャザリング(中高生が集いさまざまなテーマで討議する場)に参加したスカウトの呼びかけから始まった“スカウトの自主的な運動“です。 その後も30年以上にわたり、スカウト達は援助の意味を考えながら、募金の方法や支援形態、時には援助する国や団体を検討しながら活動を続けています。スカウトの自主的な運動で長く続いている全国的にも類のない群馬県連盟の誇る大切な運動です。

小さな力運動のはじまり

1985 年( 昭和60 年) 、群馬県支部ガールスカウトギャザリングに参加したスカウト達は、清水俊衣姉(当時、群馬県支部 副支部長)から、フィリピンの日系人のお話 を聞きました。それは、「1903 年に、多くの日本人がフィリピンに渡り、数え切れないほどの犠牲者を出してバギオにケノン道路を建設。その後、現地の女性と結婚し平穏に生活していました。しかし、40 年後、第二次世界大戦が起こり、日本のフィリピンに対する迫害のために、日系人であることを隠し、名前を変え、山奥で貧しい生活を送っていました。そのことを聞いたマリアの宣教者フランシスコ修道会のシスター海野は心を痛め、フィリピンに残っている日系人3 世、4 世の貧しい学生たちの奨学援助に教育資金を設立する事を願い、『スポンサーになって下さい!!』と呼びかけたのです。フィリピンでは高校卒業( 日本の中学校にあたる) は就職のために必要な条件なの です。」というお話でした。 そのお話を聞いたスカウト達は感動し、「私たちにも何かできることはないか」と考え話し合い、「スカウト一人ひとりが1 年にジュース1 本・アイスクリーム 1 個を倹約して募金をしましょう!」を合言葉に、ガールスカウトギャザリングに参加したスカウト全員一致で奨学援助をすることが決まりました。私たちはこれ を「小さな力運動」と名付け、今も皆様のご協力を願っています。 また、1990 年( 平成2 年) のガールスカウトギャザリングで、第2 団の吉村玲子さんからインドの識字率が30% という低さを知り、文盲の子供たちの識字教育のため石板1,000 枚を贈る運動が10年間続きました。1997 年( 平成9 年) の実行委員会では、ブルキナファソで活動しているシスター黒田を招き、ブルキナファソの子供たちの厳しい現状を知り、栄養失調児回復センターに援助することを決めました。 その他の 活動として、地雷で手足を失った子供たちに義足を送るため、使用済みプリペイドカードを回収する運動も加わり、その後、開発途上国に援助して いるNGOのジョイセフに変え現在に至っています。また、前橋、高崎、桐生、東毛の県内4 地区で毎年実行委員を募り、各地区がそれぞれ独自の方法で、募金、バザー、クッキー販売、アルミ缶回収等の活動を繰り広げて、現在も継続しています。

海外研修

この運動が始まってから、「フィリピンってどういう国?」「 ケノン道路ってどんなところ?」「 バギオって?」「 シスター海野はどんな方?」 と、スカウトの素朴な疑問から、 「奨学生に会いたい!」、「シスター海野に会いたい!」、「フィリピンへ行ってみたい!」と言う思いが沸き上がりました。「募金を持って皆で会いに行きましょう!」 と、この運動開始から4 年目(1987年度)にレンジャー19 名、指導者14 名でフィリピンへの海外研修が実現したのです。 その後も2005年、2008年、2012年にフィリピンバギオでの交流が実現し、3年に一度のモニタリングとして継続しています。

「小さな力運動」30周年記念

2014年には、この運動も30周年を迎え、翌2015年3月にはフィリピンから奨学生7名、引率3名を迎え、「いつか群馬で交流を!」の夢を実現することができました。ガールスカウトはもちろん、今までにかかわった方、小さな力運動にゆかりのある方、たくさんの方にお声をかけ、盛大にセレモニーを開催。4泊5日の滞在中は、スカウトの家庭にホームステイをし、日本の文化を体験していただきました。フィリピンの奨学生、スカウトにとって、この交流が貴重な経験になったことは間違いありません。 また、この運動の実績が認められ、「群馬県国際交流賞」「東京キワニスクラブ青少年教育賞」を受賞することができました。 「小さな力運動」への取り組みは、一人ひとりがブラウニーからかかわることで、自分の生き方をみなおし、相手国に関心を持ち、自分の立場で行動を起こし、その気づきによって身近な家族、地域の人々にもこれらの活動を通して伝えていける平和への実践活動であるのです。

フィリピン海外研修

第1回 1988年3月30日~4月4日 7名(スカウト4名 指導者3名)
第2回 1989年3月27日~31日  33名(スカウト19名 指導者14名)
第3回 2005年3月27日~31日  15名(スカウト11名 指導者5名)
第4回 2008年3月27日~31日  27名(スカウト18名 指導者9名)
第5回 2012年3月25日~30日  17名(スカウト13名 指導者4名)